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INTERVIEW村で生きる

上埜暁子さん/木島平は好きな仕事や趣味を自由にする自分をあたたかく受け入れてくれました

眼下に千曲川、正面には斑尾、妙高など奥信濃の山々を望む木島平村内山地区。冬には雪で埋もれるこの地は江戸時代からの紙すきの産地でもあります。今回はここで内山手すき和紙体験の家(以下、体験の家)を運営する上埜さんにお話を伺いました。

和紙を始めたのはたまたま

上埜さんは東京生まれ東京育ち。幼いころから絵が好きで、大学は美術大学に進学。卒業後は東京でデザイナーの仕事に精を出す。仕事の夏休みに行ったワークショップで和紙に出会い、そこでの体験が人生の転機となった。もともと和紙に特に興味があったわけではないが、やってみたら面白く「ここで働かせてください!」とすぐに和紙の世界に飛び込んだという。その後、徳島で2年間和紙を学ぶ。内山手すき和紙を継いでみないかと偶然声がかかり木島平村に移住。家も決めずに移住したため、当初は体験の家に寝泊まりしていたとか。優しい控えめな印象からは想像がつかないが、自分が面白そうと感じる方へ進んでいく行動力と決断力には驚かされた。木島平村での生活は、面倒見の良いお姉さんとの出会いもあり、最初から不便なく楽しかったという。体験の家で働き始め31年がたち、現在体験の家には多くの作品が並ぶ。伝統技術を守りつつ、こだわりがつまった作品からは不思議とあたたかみを感じ、繊細な職人の技を見ることができる。

仕事が好きで毎日仕事してます

始めたきっかけはたまたまだが、すっかり和紙に魅了され、「仕事が好きだから毎日仕事をしてます。」と楽しそうに笑顔でいう。和紙は生ものなので毎日世話をする必要があり、休館日であっても手入れはかかさない。内山地区では昔は和紙が盛んで作り手も多くいたが、いまでは上埜さんひとり。原料のこうぞを栽培し、昔からの手法を変えず、手間を惜しまず和紙に向き合う姿に仕事への誠実さを感じた。名刺やお酒のラベル、レースの賞状や宿泊施設の灯り、写真たてなど依頼内容はさまざまだが、ひとつひとつ丁寧に柔軟に対応されており、和紙でこんなものができるのかと驚かされる作品も少なくない。村の保育園や小中学校の入学式・卒業式の際には、和紙でコサージュを制作する。体験をしながら自分たちで作るのは内山手すき和紙が身近にある村ならではの風習だ。

「木島平村は好きな仕事と趣味を自由にする自分をあたたかく受け入れてくれました」と笑顔で話す上埜さん。趣味は美術館巡りで、村のアート好きの仲間と「木島平アート部」も結成し、イベントなどを開催している。仕事の話も趣味の話も終始楽しそうに話しており、好きなことを仕事に木島平村での毎日はとても充実しているようだ。伝統技術を継承しながら、新しい作品を作りだしていく上埜さん。これからどんな作品が作られるのかとても楽しみだ。

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上埜暁子(うえのさとこ)さん
1967年1月生まれ
1994年夏に木島平村に移住 内山手すき和紙体験の家で働く
趣味 美術館巡り 
   木島平アート部を結成しイベントなどを開催している
公式サイトURL:https://kamisukiya.com/
Instagram:https://www.instagram.com/kamisukiya/

内山手すき和紙は、木島平村へのふるさと納税の返礼品にもなっています
・ふるさとチョイス内の木島平村紹介ページより
・楽天ふるさと納税内の木島平村紹介ページより

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