めぐる木島平。暮らしも旅もぐるっと。
INTERVIEW村で生きる

水上清治さん/次の世代につなげていくために、これからも酪農を続けていきたい

「美味しそうに食べてるところを見てたら疲れも吹っ飛びますよ。ずっと見てられます。」
自給飼料の餌を食べる牛達を優しい笑顔で見守る水上さん。標高800mの池の平で200頭を超える牛を飼育し、中沢牧場で働く水上清治さんに今回はお話を伺いました。

たまたま見つけた酪農の仕事

水上さんが酪農を始めたのは23歳の頃。それまでは土木の仕事をしていたがこの先この仕事をしていくのかと迷っていた。海で漁師をするか、山で農業系をするかと漠然と考えながら、ハローワークで見つけたのは酪農の求人。求人内容がその時の希望と合致したことから、蓼科の長門牧場に就職を決めた。そして酪農家としての生活が始まった。実際に働き始めると、朝2時半から夜の22時まで業務は盛沢山。体力的にも精神的にもハードな仕事だが、それまで土木しかしてこなかった水上さんにとっては、毎日が新鮮で非日常感がとても楽しかったと振り返る。
長門牧場では3年勤め、その間に20人もの人の入れ替わりがあったが、最後まで辞めなかったのは、水上さんと水上さんの奥さん2人だけだったという。根性があったのはもちろんだが、いつのまにか酪農の仕事の虜になっていたのだろう。決して楽ではない仕事だと容易に想像がつくが、楽しそうに笑顔で話す水上さんを見ていると、非常にやりがいのある仕事で、続けてきた人にしか分からない面白さがあるのだと感じた。酪農がしたいという強い思いがあったわけではなくたまたま始めたが、3年間はあっという間にすぎ、いつしか自分たちで牧場をしたいと思うようになっていた。そんなときに偶然見つけたのが木島平村の中沢牧場。自分が望む環境があると思い移住を決意した。

理想とする循環型の酪農ができる環境

中沢牧場では約123,000平方メートルの畑でトウモロコシを自家栽培しており、コーンサイレージとして専門サイロで乳酸発酵させることで、美味しく栄養価の高い給餌を作っている。また牧草も飯山市で自家栽培しており、年3回刈り取ることで輸入した餌だけに頼らず牛を育成している。トウモロコシや牧草を育て、それを牛が食べる、そして牛の排泄物から堆肥を作りまた育てる。この循環型酪農ができる環境は珍しく、水上さんの望む酪農の方法でもある。また大きな牧場では部門ごとにわかれ業務を行うが、ここでは出産から体調管理、搾乳まで一貫して牛をみることができる。これらの環境があることは中沢牧場の特徴である。
「牛も食べるものが大事。美味しい牛乳のためには食べる物にはこだわりたい。牛も美味しいとバクバク食べてくれるし、まずいとモーモー言ったりするから、バクバク食べてくれるのが一番嬉しい。」
多忙な業務の中でも、牛たちへの愛情と仕事へのこだわりを感じた。

次の世代につないでいきたい

出産にたちあうこともあれば、亡くなっていく牛ももちろんいる。
「仕事を続けていくことが牛達の死を無駄にしないことにつながると思うから、これからも頑張って続けていきたい。次の世代に繋げていければと思ってます。」
と真剣な眼差しで話す水上さん。牛に向き合う真摯な気持ちは、働く原動力にもなっているのだと感じた。

「〝中沢牧場牛乳〟として牛乳を売り出していければなと思っている。せめて地元の給食で扱ってもらえるようになりたい。」
酪農に真剣に取り組む水上さんが最後に今後の目標を語ってくれた。

とても穏やかで終始笑顔でお話してくださった水上さん。お話の随所で仕事に対する熱意と芯の強さを感じ、この目標も実現させていくのだろうと感じた。木島平村にとってかかせない酪農家として今後の活躍も楽しみだ。

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水上清治(みずかみきよはる)さん
1981年生まれ 
23歳で酪農に出会い働き始める
26歳中沢牧場で働き始め木島平に移住 
猟友会に所属  
趣味:相棒鑑賞
公式サイトURL:http://nakazawafarm.co.jp
Instagram:https://www.instagram.com/nakazawa_dairyfarm/