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木島平人12|長谷川たかしさん

12月23日のオープン以来、連日賑わいを見せる木島平スキー場。スキー場を縁の下で支えるパトロール隊だ。今回はその隊長を務める長谷川たかしさんにお話を伺った。

スキー場の安全を守る、縁の下の力持ち

パトロール隊の仕事はスキー場オープン前からはじまる。スノーモービルでゲレンデ内を点検し、必要に応じて規制などを行い、スキー客が安全に楽しめるよう環境を整える。また、木島平スキー場一番の“売り”とも言える最大斜度45度、全長800メートル、非圧雪の『パイオニアコース』。ここは雪崩の危険性もあるので、パトロール隊がスキー滑走をして安全を確保してからオープンすることになっている。日中も、スキー客が安全に滑れるよう巡回し、怪我人が出れば救助・応急処置を行う。スキー場の安全を守る、まさに縁の下の力持ちだ。

「お客様に安全な状態で滑ってもらうにはどうしたらいいか、常に考えて、規制だったり、情報提供だったり、ゲレンデの環境を整えて、お客様にいい状態でスキー・ボードを楽しんでもらえるよう心掛けている。」
そう語るのがパトロール隊の隊長を務める長谷川たかしさん。12月~3月のスキーシーズン以外の期間は建築業に従事している。

長谷川さんがパトロール隊に入ったのは20歳のとき。幼いころから親しんだスキーやスノーボードが好きだったとうのもパトロール隊を志した理由の一つだが、“人を救助する”ということに惹かれたのだという。
そんな長谷川さんは、木島平村消防団ラッパ隊の副ラッパ長も務めている。「消防団でも火事や災害の時には人命救助にあたることもあり得るので、その点ではまったく一緒。」という。とても正義感の強い人なのだろう。

パトロール隊がいくら安全な環境を整えても、スキーやスノーボードに怪我はつきものだ。土日ともなると、怪我人が出ない日はなく、多いときは7~8人の怪我人がでることもあるという。
「ぼくらができることは、救助、応急処置、そして痛みの軽減と緩和。固定をしてあげたり、雪でアイシングをしてあげたりして、いかに痛みを少なくして病院へいってもらうか。」

パトロール隊になるには、長野県スキー連盟指定のパトロール講習と実技、さらに救急法の講習を受講し、両方合格してはじめて一人前のパトロール隊になれる。確かな知識と技術をもった彼らがいるからこそ、わたしたちも安心してスキーを楽しめるのである。

「お客様が怪我をして、救助して、そのあと治ってまたスキーに来たときに『あの時はありがとうございました。おかげさまで大事に至らずまた来られました。』と顔を出しだしてくれたこともある。そういうことがあるとやっぱり嬉しい。」
人の生命を左右する仕事だけに、責任や緊張感は計り知れないが、その分やりがいも大きいという。

 

自分の技量の範囲で、ルールを守って楽しんで

この場を借りてスキー客の皆様に伝えたいことは?と聞くと、
「楽しんで滑るためには、自分の技量をしっかり理解し、その範囲内で滑っていただきたい。」
とくに最近流行りのバックカントリースキー。最近はDVDやインターネットで、様々な動画が出回っており、それら感化されてコース外に出てしまうスキー客も少なくないのだという。これに関しては、
「バックカントリーやるためには、それなりの知識と装備が必要。今はいろんなスキー場で専用のツアーガイドを設けているので、ガイドについて行って楽しんでもらうのが一番安全。個人の判断でコース外に出てしまうと、雪崩などの危険性もあって、最悪の場合、命を落とすようなことにもなりかねないので、個人では絶対にコース外に出ないでほしい。」
長年のパトロール経験で色んな場面を見てきた長谷川さんだからこそ、言葉のひとつひとつに重みがある。スキー客の皆様には、是非ルールを守り、安全第一で楽しんでいただきたい。

木島平スキー場では現在、バックカントリーのツアーは実施していないが、今後取り入れていければと前向きに考えているそうだ。「メリットもあればリスクもある。しっかりと安全面を考慮し、計画を立てて実行できれば…。」とのこと。木島平スキー場の今後の動きにも目を離せない。

 

木島平スキー場のこれから

木島平スキー場に限ったことではないが、スキー客の減少、従業員の高齢化など、スキー場を取り巻く環境は厳しい。
「お客さんが減ってきて経営の方も大変だけれど、観光産業としてスキー場はあったほうがいいし、地元の子供たちも冬はスキーという感覚がある。スキーやボードを通じて雪と戯れることは、こういうところでしか味わえないもの、都会では絶対味わえないものなので、地元の子供たちのためにも残していきたい。そのためには、大人たちが頑張ってスキー場を維持していくことが大事なんじゃないかな。村もそれに向けて、前向きにやっていってもらいたいし、自分たちも働きかけていきたい。」

また、長谷川さんは従業員、とくに若い世代の働く環境についても懸念している。
「どこのスキー場も、若い人たちの手が足りない。どうすれば若者が入ってきやすいか、入ってくれた若者が長く勤められるか、しっかり考えて、環境を整えてあげるのが会社の役割なんじゃないかな。地元の若者で盛りあげていくのが一番いい。」

教えられることは全部教えて、世代交代していきたい

最後に、これからの楽しみや夢について伺うと、「夢っていうほどじゃないけど…」と少し恥ずかしそうに答えてくれた。
「一緒に働いている若い隊員たちが一人前になって、ぼくの後を継いで、このスキー場を盛り上げていってもいたい。パトロールの仕事はかなり大変な仕事なので長く続けるのはなかなか厳しい。それでもやりたいと思ってくれている若い子たちなので、教えられることは全部教えて、世代交代していければありがたい。」
パトロール隊以外のことでも、プライベートのことでもいいですよ、と促したのだが、返ってくるのはやはり部下の若い隊員たちのこと。どこまでも部下思いなひとだ。

取材のため寄らせていただいたパトロール隊の事務所は、隊員同士で冗談の飛び交う和やかな雰囲気が印象的だった。これも隊長である長谷川さんの人柄によるものだろう。今回こうして、スキー場への想い、そしてそこに携わる人々への想いを伺うことができた。こうした想いをもつひとりひとりの力が合わさって、木島平スキー場が成り立っているのだ。

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長谷川たかし(はせがわたかし)さん
1974年生まれの44歳
木島平スキー場パトロール隊 隊長
木島平村消防団ラッパ隊 副ラッパ長