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秋祭り~脈々と受け継がれる地域の伝統~

9月に入ると、夜、どこからともなく笛や太鼓の音が聞こえてきて、村人たちはどこかソワソワ、ワクワクしはじめます。
9月は毎週末、どこかの地区で秋祭りが開催されています。秋祭りの前夜祭にあたる宵宮(夜宮)では、灯篭の灯りが浮かび上がる中、各地区のお宮で獅子舞が奉納されます。その景色はとても幻想的で、各地区で異なる獅子舞は魅力たっぷりです。地域の団結力や代々受け継がれてきた伝統を肌で感じることのできる場でもあります。
今回は、そんな秋祭りをクローズアップしてみました。このページの下部には開催される秋祭りのスケジュールや獅子舞の特徴等を記した一覧もございますので、参加される際の参考にしてください。

 

ひとつの地区にひとつの神社

木島平村には27の地区があり、それぞれにそこで暮らす人々(氏族・氏子)を守る鎮守の神、氏神を祀っているお宮(神社)があります。これらの神社で行われる様々な祭礼のなかで最も重要なものが例大祭、つまり秋祭りで、神社創建を祝うお祭りです。村内各地区では他にも、五穀豊穣を祈願する春祭りや、豊作を神に感謝する新嘗祭、元旦祭、子どもの育成を祈願する道祖神祭りなど、数々の祭礼が地区ごとに行われています。
このようなお宮や祭礼の原型は鎌倉・室町時代まで遡るとされていますが、当時は今のような形ではなく、祠や洞窟のようなところでごく小規模にお供え物や神事を行っていたとされています。今のようなお宮ができ、獅子舞が奉納されるようになったのは江戸時代の終わり頃だろうと言われています。

糠千地区のお宮

積み重ねる練習は結束力の源

練習はお祭りの数週間前から始まります。冒頭に書いた、どこからともなく聞こえてくる笛や太鼓の正体はこれ。早いところでは1か月前から毎晩のように練習を重ねる地区もあります。練習と同時に、お祭りに使う灯篭や神輿等の準備もします。地区の規模によって様々ですが、ほとんどの地区が子供から大人まで区民総出で準備をします。こうした共同作業を通じて、地区の結束を固めてゆくのです。

 

最も盛り上がるのは前夜祭、宵宮

秋祭りで最も盛り上がるのは祭礼前夜に行われる宵宮です。
夜8時ごろに公民館や区長宅に集合し、隊列を組んで神社までの道中を練り歩きます。隊列の順番も地区によって様々ですが、一般的には、お祭りの掟を記した「制札」の灯篭、先達役を担う「天狗(猿田彦ともいう)」、その前後にお囃子や神輿、花灯篭や鈴灯篭、その後に区長・副区長、神主、氏子総代、役員、氏子と続きます。笛や太鼓によるお囃子が鳴り響き、花灯篭や鈴灯篭、明かりが浮かび上がる景色はとても幻想的で、黄金色に輝く田んぼと並んで木島平の秋を象徴する景色の一つです。

左手前の灯篭が「制札」

 

神社の前につくと、鳥兜に修験者の衣装を身に着けた天狗による「注連切り(地区によっては七五三切りとも)」を行います。お宮の鳥居に注連縄が張られており、その前で天狗がカヤで作られた松明を力強く振る舞を披露し、最後に刀で注連縄を切り、境内に入ります。これは、神域であるお宮へ入る際の結界を破る行為を表しています。

南鴨地区の注連切り

境内で神事を行ったあと、いよいよ獅子舞の奉納に移ります。
一口に獅子舞と言っても集落によって様々な特徴があります。近隣の山ノ内町や飯山市、野沢温泉村など、地区ごとに様々なルーツがあり、登場人物やお囃子、唄などは地区によって異なります。近隣には信濃の三大修験場(飯綱、戸隠、小菅)があるので、その影響も多く受けていると考えられています。中には村内の地区から地区へと伝承されているところもあり、似通ったものもありますが、まったく同じ形態のものは一つとしてありません。

獅子は一般的には、2人一組でオンベ(御幣:細長い木や竹に紙を切ったものを挟んだ神祭用具)や鈴、刀などの小道具を用いて舞います。頭と胴体、2人で息をぴったり合わせて操る獅子はまるで生きているかのよう。これも積み重ねてきた練習の賜物です。

内山地区の獅子舞

獅子には雄獅子と雌獅子があり、ヨタン(獅子の体を表す布)の色や舞手が着ている着物の色でも判断もできますが、舞い方が全く異なり、雄獅子のほうが激しく勇壮、雌獅子はゆったりした動きが特徴です。一見すると、雌獅子のほうが楽に見えるのですが、常に腰を落として、内股でゆっくりと動かなくてはならないので雄獅子よりも大変だそうです。
獅子が口をカチカチと鳴らして噛むような仕草やヨタンをひらひらと広げる仕草は、悪魔祓いや無病息災を意味します。秋祭りに訪れた際には、ぜひ獅子に、頭を噛んでもらいましょう!

糠千地区の獅子(雌獅子)

 

獅子以外にも、「面かぶり(ひょっとこ・おかめ)」が登場する地区もあります。面かぶりは獅子をからかうような舞を披露し、最後には獅子を怒らせて飲み込まれてしまうというストーリーがあります。面かぶりの舞にはユーモアがあり、観客をわかせてくれます。

庚地区の面かぶり

他に村内で珍しい形態としては、獅子舞に天狗も登場する地区(大町地区)や獅子が雄雌2匹登場するという地区(市之割地区)もあります。
これらの舞は、東西南北それぞれを向いて舞われるため、すべてとおすと1時間ほどかかります。

市之割地区の獅子舞

地区によっては、お宮の周りに夜店が出たり、花火があがったり、ビンゴ大会などのアトラクションがあるところもあります。
一連の神事が終わると、直会(なおらい)が開かれます。村人たちは杯を交わしながら「今年はうまくいった」「あそこ失敗した」「お前よくやったな」など、獅子舞の出来について熱く語り合い、夜が更けていきます。

 

宵宮から一夜明け、例大祭

翌日は朝から「朝舞(あさまい)」と言って、区長や祭典団長、他希望者などのお宅を回り、家の中や庭先で獅子舞を奉納します。なかには全戸回るという地区もあります。この時の獅子舞は簡略化したものになります。行く先々でお酒やご馳走が振舞われ、すべて回り終わった頃にはもうぐったり…という人も。

村役場での朝舞の様子(南鴨地区)

 

朝舞の後か、戸数の多い集落では朝舞を回っている間に、神社で神主を招いての例大祭が行われます。最も盛り上がりをみせるのは前夜の宵宮ですが、あくまでも前夜祭であり、例大祭の本番はこちら。神主による祝詞、玉串拝礼などの神事を行い、集落の五穀豊穣と集落の安泰を祈願して、例大祭は幕を閉じます。

例大祭の様子(糠千地区)

 

存続が危ぶまれる地域の伝統芸能

お祭りの時期になると、村外へ出ている家族・親戚も帰ってきて、普段は静かな集落も、秋祭りの日だけは「こんなに人いたっけ!?」というくらいお宮に老若男女が集まります。
それでも、近年は高齢化・人口減が進み、お祭りの継続が困難になりつつあるのが現状です。今年(2017年)、宵宮が行われているのは村内全27地区のうち18地区。ここ数年の間に宵宮や獅子舞の奉納をやめてしまった地区もあります。昔を知る人曰く、「昔は灯篭がもっとたくさん出て、もっと賑やかだった。限られた人しか獅子を舞うことはできなかった。」とのこと。
この記事を作成するにあたって取材させていただいた神主さんは、「また昔みたいに賑やかになればいい。たくさんの人が参加しやすいように、早い時間にやるとか、子供や女性も参加するようにするとか、工夫していかないといけない。」と語ります。大切に守り続けてきた伝統、私たちの代で絶やしたくないものですね。

 

笛や太鼓の音に誘われ、秋祭りに出掛けてみませんか

見に行くなら最も盛り上げる宵宮がオススメです。地域で脈々と受け継がれてきた伝統と地域の結束力を肌で感じ、地域の皆さんと一緒になって年に一度のお祭りを盛り上げましょう!
今年の各地区の宵宮の日程は下記の通りです。一つの地区をじっくりと楽しむのもよし、いくつかの地区を見比べてみるのもよし、楽しみ方は人それぞれです。

宵宮は夜の8時から11時ごろに行われます。9月とはいえ、夜はたいへん冷え込みますので、せっかくのお祭りで風邪をひかないよう、防寒着を持って出掛けましょう。
また、秋祭りは地域で代々受け継がれてきた大切な神事です。マナーを守り、地域の方が大切に守ってきたものを敬う気持ちを持って見学をお願いします。

 

●平成29年度 木島平村 各地区秋祭り一覧

※駐車場は数が限られているため、各地区の指示に従い駐車してください。
※神事のみなどの開催地域については、上記スケジュールに含まれていませんのでご了承ください。
※当日の内容については、変更がある場合もございますので、ご注意ください。

★スケジュールのPDFファイルはこちら〔H29 木島平村 各地区秋祭り一覧